LTV

    LTVとは

    LTV(Life Time Value)とは、顧客生涯価値と訳され、一人の顧客が、企業との取引を開始してから終了するまでの全期間にわたって、その企業にもたらす利益の総額を指します。LTVは、単発の売上ではなく、長期的な視点で顧客との関係性を評価するための重要な指標です。この指標を追うことで、企業は、新規顧客獲得にかけるコスト(CPA)の上限を戦略的に設定できるようになり、長期的な事業成長と収益性の向上を目指します。

    LTVの向上こそが成長の鍵である

    かつて、マーケティングは新規顧客獲得に重点が置かれがちでしたが、現代のサブスクリプション型ビジネスやリピート購入が中心のビジネスモデルでは、LTVの向上が企業の成長を決定づけます。新規顧客獲得には既存顧客維持の数倍のコストがかかるため、獲得した顧客との関係を維持し、LTVを最大化することが最も効率の良い経営戦略となります。

    例えば、BtoCの化粧品ECサイトであれば、初回購入後のステップメールやパーソナライズされた商品のレコメンドを通じて、定期購入へと引き上げます。BtoBのSaaS企業であれば、導入後のサポートを手厚くし、利用機能を増やしてもらうことで、契約期間の長期化やアップセルを促します。大手企業もベンチャー企業も、顧客維持(リテンション)とLTV向上に焦点を当てることで、広告依存から脱却し、安定した収益基盤を築くことができるのです。

    LPOとABテストは「優良顧客」を生み出すための初期投資

    LTVを最大化するためには、新規顧客を「ただ獲得する」のではなく、「長期的な優良顧客になり得る顧客」を獲得することが重要です。この優良顧客の獲得効率を高める初期フェーズで、LPOランディングページ最適化)とABテストが大きな役割を果たします。

    例えば、Web広告からランディングページ(LP)に流入した際、LPのメッセージやオファーによって、獲得する顧客の質が変わることがあります。初回購入の割引率を高く設定しすぎると、割引目当てでLTVの低い顧客ばかりを集めてしまうかもしれません。

    そこで、ABテストを活用します。例えば、「割引率を抑える代わりに、製品の付加価値を強調したLP(A案)」と、「高い割引率で申し込みを促すLP(B案)」を比較し、獲得後のLTVがより高いのはどちらの顧客層かを検証します。LPOとABテストは、コンバージョン率(CVR)を高めるだけでなく、獲得した顧客のLTVまで考慮に入れた、高度なマーケティング戦略の実行に不可欠なツールなのです。

    LTVと顧客獲得単価(CPA)のバランスで予算配分を最適化する

    LTVを経営指標として活用する最大のメリットは、顧客獲得単価(CPA)の許容上限額を明確に設定できるようになる点です。LTVが高ければ高いほど、企業は新規顧客獲得のためのCPAに、より多くの予算を投下できるようになります。

    LTVが10万円の顧客層がいると判明すれば、CPAを5万円に設定しても十分に採算が取れるという判断ができます。これにより、競合他社よりも積極的な入札単価を設定したり、集客チャネルを拡大したりすることが可能になります。

    もし、Webサイト経由で獲得した顧客のLTVが、広告経由で獲得した顧客のLTVよりも高いことがアクセス解析で判明した場合、広告予算の一部をSEOなどのWebサイト改善(LPO)に振り向けるべきという意思決定にも繋がります。LTVは、単なる数値ではなく、企業のマーケティング予算配分や事業戦略の方向性を決定づける、最も重要な羅針盤となるのです。

    Q&A

    Q1. LTVの基本的な計算式は何ですか?

    最もシンプルな計算式は「顧客の平均購入単価 × 平均購入頻度 × 平均継続期間」です。実際には、売上だけでなく利益ベースで計算したり、原価や広告費を考慮に入れたりするなど、様々な計算方法があります。

    Q2. LTVの向上施策とLPOはどのように関連しますか?

    LPO(ランディングページ最適化)は、LTVの向上施策のスタート地点です。LPOにより、LTVが高くなり得る「優良顧客」の獲得効率(CVR)を高めることができます。獲得後の顧客維持(リテンション)は、MAツールやCRMなどで行います。

    Q3. LTVを上げるために最初にすべきことは何ですか?

    まずは、既存顧客の購買データや行動データをアクセス解析やCRMツールで詳細に分析し、「LTVが高い顧客」と「低い顧客」の特徴を明確に把握することです。その特徴を基に、LTVの高い顧客を狙うための広告配信やLP設計(LPO)を行います。

    Q4. BtoBビジネスにおけるLTVの考え方はBtoCと異なりますか?

    LTV(顧客生涯価値)の考え方は、BtoBとBtoCで根本的なロジックは同じです。

    BtoBビジネスでは、契約の平均継続期間の長さと、アップセルクロスセルによる契約額の増加がLTVに大きく影響するため、カスタマーサクセスCS)による顧客維持活動が重要になります。

    一方、BtoCでも、特にサブスクリプション型サービスや定期購入モデルにおいては、このBtoBと同様の考え方が当てはまります。BtoCでも、いかに顧客の解約率を下げて継続期間を延ばすか、そしてより高単価なプランへ移行してもらうか(アップセル)が、LTV最大化の鍵となります。つまり、どちらのビジネスモデルにおいても、単発の売上よりも、顧客との長期的関係を築く戦略が重要です。

    Q5. LTVとCPA(顧客獲得単価)の理想的な比率はありますか?

    一般的に、LTVはCPAの3倍以上が望ましいとされます(LTV:CPA = 3:1)。この比率が高ければ高いほど、そのビジネスモデルは健全で収益性が高いと判断できます。

    関連用語

    CAC

    チャーンレート

    カスタマーサクセス

    コンバージョン率(CVR)

    LPO

    サブスクリプション

    クロスセル

    アップセル