UTMパラメータとは
UTMパラメータとは、URLの末尾に付加する、アクセス元を詳細に識別するための追跡用パラメータのことです。このパラメータを付与したURLを通じてユーザーがWebサイトにアクセスすると、アクセス解析ツール(GA4など)は、その情報(どこから、どのように、何の目的で来たか)を記録し、アクセス元を正確に分析できます。デジタルマーケティングにおいて、どの広告やキャンペーンがどれだけの成果(コンバージョン)を生んだかを明確に把握し、費用対効果を測定するために不可欠な手法です。UTMパラメータは、Utchin Tracking Moduleの略と言われています。
必須の5つの要素でアクセス元を「見える化」
UTMパラメータは、マーケティング活動の成果を正確に測定するために、主に以下の5つの要素(タグ)で構成されています。これらの要素をURLに追加することで、「誰が、どこから、何を目的として来たか」という重要な情報をアクセス解析ツールに伝えることができます。
utm_source(参照元)
ユーザーがどこから来たか、つまり流入元となるプラットフォームや媒体を識別します。例:Google、Twitter、newsletter(メルマガ)など。
utm_medium(メディア)
参照元の種類、つまりどのような手段でアクセスしたかを識別します。例:cpc(有料広告)、email(メール)、social(ソーシャルメディア)など。
utm_campaign(キャンペーン)
特定の広告キャンペーンやプロモーション名を識別します。例:summer_sale_2025、new_product_launchなど。
utm_term(キーワード)
主にリスティング広告において、どの検索キーワードから流入したかを識別します。例:marketing_tool、saas_comparisonなど。
utm_content(コンテンツ)
同じ広告内でも、どのクリエイティブやリンクがクリックされたかを識別します。例:banner_a、textlink_blueなど。
これらのタグを適切に設定することで、例えば「Googleのリスティング広告(cpc)で配信した、サマーセール(summer_sale_2024)キャンペーンの、青いバナー(banner_a)からアクセスがあった」といった詳細な流入経路の分析が可能になります。
BtoBとBtoCにおける活用事例
UTMパラメータは、BtoBでもBtoCでも、デジタル施策の効果測定において等しく重要な役割を果たします。それぞれのビジネスモデルにおける具体的な活用方法を見てみましょう。
BtoCビジネスでは、特に短期的なキャンペーンや多岐にわたるSNS投稿の効果測定に役立ちます。例えば、Instagramのストーリーズとフィードで同じキャンペーン告知を行った場合、UTMパラメータで utm_content を変えることで、どちらの露出方法がより高いクリック率やコンバージョン率を生んだかを正確に把握できます。これにより、次回のSNS戦略の最適化に繋がります。
一方、BtoBビジネスでは、リードナーチャリング(見込み客の育成)のためのメールマガジンや、複数のメディアに掲載するホワイトペーパー広告の効果測定に欠かせません。例えば、メールマガジンの本文にある複数のリンク(製品紹介、ブログ記事など)のそれぞれに異なる utm_content を設定することで、顧客がどの情報に関心を示したかを特定し、その後のフォローアップの精度を高めることができます。
測定の厳密化がもたらす広告効果の最大化
UTMパラメータの最も大きな価値は、アクセス解析データを「なんとなく」ではなく「厳密に」測定可能にすることで、マーケティング予算の最適化に直結する点です。特に、Web広告費が高騰する現代において、費用対効果の明確化は企業の利益に直結します。
例えば、多くの広告媒体では自動でパラメータが付与されますが、メールマガジンや提携サイト、オフライン資料のQRコードなど、自動で計測されないチャネルからの流入は、UTMパラメータを設定しなければすべて「ダイレクト」や「不明」として計測されてしまいます。その結果、「どの施策が売上に貢献したのか」という最も重要な問いに答えられなくなってしまうのです。正確なUTMパラメータを設定し、成果の低い施策から予算を撤退させ、効果の高い施策に集中投下することで、マーケターは費用対効果を最大化できるというわけです。
Q&A
Q1. UTMパラメータを設定しないとどうなりますか?
Webサイトにアクセスした経路が正確に分からなくなります。特にSNSやメールなどからのアクセスがすべて「ダイレクト」や「不明な参照元」として計測されてしまい、どの施策がコンバージョンに貢献したのかが分からず、広告運用の最適化が困難になります。
Q2. UTMパラメータはどこに追加すれば良いですか?
アクセス解析をしたいリンク先のURLの末尾に、「?」(クエスチョンマーク)から始めて追加します。複数のパラメータを繋げる場合は「&」(アンパサンド)で区切って記述します。
Q3. utm_source, utm_medium, utm_campaign のうち、必須のパラメータはどれですか?
アクセス解析ツールによっては異なりますが、一般的に utm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン)の3つは、正確な分析を行うために必須とされています。
Q4. 大文字・小文字は区別されますか?
はい、大文字と小文字は区別されます。例えば、「utm_source=Twitter」と「utm_source=twitter」は、アクセス解析ツール上では異なる流入元として扱われます。このため、設定時は大文字・小文字のルールを統一することが非常に重要です。
Q5. 外部のメールマガジンに自社サイトのURLを載せる際、どのように設定すべきですか?
utm_sourceにはメルマガ名や配信元の企業名、utm_mediumには「email」や「newsletter」を設定し、utm_campaignにはそのメールの主題や目的(例:monthly_report_oct)を設定すると、効果測定が容易になります。
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