タッチポイントとは
タッチポイントとは、企業と顧客(見込み客も含む)との間に発生する、あらゆる接点や相互作用の場を指す言葉です。具体的には、Webサイト、広告、店舗、コールセンター、営業担当者との会話、製品パッケージ、SNSの投稿、メールマガジンなど、顧客が企業やブランドを認識したり、体験したりする全ての場所が含まれます。この接点を多角的に分析し、それぞれの体験を最適化することで、一貫性のある顧客体験(CX)を提供し、ロイヤルティを高めることが、タッチポイント戦略の目的です。
全ての接点を見える化
現代のマーケティングにおいて、一つのタッチポイントだけで顧客が購入を決めることは稀です。多くの場合、複数のチャネルを横断しながら情報収集や比較検討を行います。そのため、全ての接点を見える化し、顧客がどのような経路をたどってコンバージョンに至るのかを把握する「カスタマージャーニーマップ」が非常に重要です。
例えば、BtoBのSaaS企業の場合、最初の接点は「Web広告」かもしれませんが、次に「オウンドメディアの記事」を読み、その後に「ウェビナー」に参加し、最終的に「営業担当者との商談」で契約に至るかもしれません。顧客体験を向上させるためには、広告で伝えたメッセージが、ランディングページ(LP)や営業資料、そして最終的な製品体験まで一貫していることが必要です。どこか一つの接点で期待値が裏切られたり、不快な体験をしたりすると、その時点で顧客は離脱してしまいます。全ての接点の質を最適化することが、顧客の信頼と継続的な取引に繋がります。
タッチポイントのデータが重要
タッチポイントから得られるデータは、WebサイトのLPO(ランディングページ最適化)やABテストの改善精度を劇的に高めます。Webサイトへの流入経路(どのタッチポイント経由か)によって、ユーザーのニーズや購買意欲は大きく異なるからです。
例えば、「製品名+価格」という検索キーワード(顕在層)から流入した顧客と、「業界の課題」に関する記事(潜在層)から流入した顧客では、ランディングページで提示すべき情報やトーンは全く違います。前者はすぐに価格や導入メリットを知りたいのに対し、後者はまず課題解決に向けた具体的な方法を知りたいと考えます。
マーケターは、流入元というタッチポイント情報に基づき、ユーザーをセグメントに分けます。そのセグメントごとに最適なランディングページを用意し(LPO)、さらにABテストで、どのコピーやデザインが最もCVR(コンバージョン率)が高いかを検証します。この検証プロセスを踏むことで、「どの接点から来た、どの顧客層に、どのようなメッセージを届けたら最も効果的か」という、パーソナライゼーションの精度を向上させることができます。
オフライン接点の活用
タッチポイントには、コールセンターでの対応や店舗での接客といったオフラインの要素も含まれます。これらのオフラインの接点で発生した顧客の不満や要望は、Webサイトやデジタル施策の改善に向けた貴重なフィードバック源となります。
例えば、店舗の接客時に「Webサイトに掲載されている情報が分かりにくい」という指摘が多かったとします。これは、WebサイトのLPO施策における重要な改善点となります。特に、製品の複雑な仕様や料金体系に関する情報など、Webサイトだけでは伝えきれない不安要素を、オフラインの現場でキャッチすることができます。カスタマーサポートや営業担当者というタッチポイントから得られた「顧客の生の声」をWebマーケティングチームが共有し、それをランディングページやFAQのコンテンツ改善(LPO)に活用することで、企業の全ての活動が一貫した顧客志向となり、チャネルを問わないシームレスな体験を提供できるようになります。
Q&A
Q1. タッチポイントとチャネルの違いは何ですか?
チャネルは「経路」や「媒体」といった物理的な場所(例:Web、店舗、メール)を指します。一方、タッチポイントは、そのチャネル上で発生する「顧客との具体的な接点や体験」そのものを指す、より広い概念です。
Q2. 顧客体験(CX)の向上とタッチポイントはどのように関係しますか?
顧客体験(CX)とは、顧客が企業との全てのタッチポイントを通じて得る総合的な印象や感情のことです。全てのタッチポイントでの体験がポジティブで一貫しているほど、顧客体験は向上し、最終的にロイヤルティが高まります。
Q3. BtoBとBtoCで、重視すべきタッチポイントに違いはありますか?
あります。BtoCでは、広告、ECサイト、SNS、店舗など、デジタルとリアルが多岐にわたります。BtoBでは、Webサイト(資料ダウンロード)、営業担当者、ウェビナー、カスタマーサクセスといった、情報提供と人間関係構築に関わるタッチポイントが特に重要になります。
Q4. タッチポイントの多さが、必ずしも良いこととは限らないのはなぜですか?
タッチポイントの数が増えるだけでは不十分で、それぞれの接点でのメッセージやブランドイメージが一貫していることが重要です。接点が多すぎると、メッセージに矛盾が生じたり、顧客を混乱させたりして、かえって顧客体験を損なうリスクがあります。
Q5. LPOを改善する際、どのタッチポイントからの情報を優先すべきですか?
LPOの改善では、ランディングページ(LP)への流入元となる広告やSEOキーワードといった「集客チャネル」のタッチポイント情報を優先すべきです。どの経路から来たかでユーザーのニーズが分かれるため、流入元のタッチポイントに合わせてLPの内容を最適化することが、CVR向上に直結します。
関連用語
コンバージョン率(CVR)
マーケティングオートメーション(MA)