スクロール率

    スクロール率とは

    スクロール率とは、Webページを訪問したユーザーが、そのページをどれくらいの深さまで読み進めたかを示す指標です。具体的には、ページの全体を100%としたとき、ユーザーがページの25%、50%、75%、100%といった特定の地点まで到達した割合をパーセンテージで計測します。この指標は、ユーザーがページ内の情報にどれだけ関心を持ち、コンテンツを熟読しているかを把握するために非常に重要です。特にランディングページ(LP)や縦長のコンテンツの評価に欠かせない、ユーザーエンゲージメントを測る基本的な指標の一つです。

    スクロール率の計測がLPOにおいて重要

    スクロール率は、LPOランディングページ最適化)を進める上で、改善のボトルネックがどこにあるのかを特定するための重要な手がかりとなります。コンバージョン率(CVR)が低い場合、問題はページ全体にあるのではなく、ユーザーが離脱している特定のセクションにある可能性が高いからです。

    例えば、BtoCのECサイトのLPで、ページ上部の製品紹介セクションではスクロール率が80%と高いにも関わらず、ページ中盤にある「料金プラン」セクションの直前でスクロール率が急激に40%まで落ち込んでいるとします。このデータから、ユーザーは製品自体には興味があるものの、料金プランの提示方法や、その手前のコンテンツに疑問や不満を感じて離脱していると推測できます。このように、スクロール率の急落地点を特定することで、「どこ」のコンテンツ改善を優先すべきかが明確になり、効率的なLPO施策を打つことが可能になります。これは、限られたリソースで成果を出すベンチャー企業にとっても、大規模なLPを持つ大手企業にとっても、データに基づいた合理的な判断を可能にします。

    スクロール率とABテストの連携でCVR向上を

    スクロール率のデータは、ABテストの効果をより多角的に評価し、CVR向上を加速させるために活用されます。単に最終的なCVRが高い/低いを見るだけでなく、なぜその結果になったのかという原因を探るために役立つからです。

    例えば、あるランディングページで実施したABテストで、ABどちらのパターンも最終的なコンバージョン率に大きな差がなかったとしましょう。しかし、スクロール率を比較したところ、Aパターンはページ後半の「お客様の声」セクションまで90%のユーザーが到達しているのに対し、Bパターンはその手前の「導入事例」セクションで50%しか到達していないというデータが出たとします。この場合、Aパターンの方がユーザーの関心を引きつけ、より深くページを読ませる能力が高いと評価できます。この結果から、最終的なコンバージョンボタンの配置など、次のABテストの仮説設定に活かせる重要な知見が得られます。LPOのサイクルにおいて、スクロール率は、ユーザーの興味関心の度合いを測る中間指標として機能し、より確度の高い改善策を導き出す手助けをします。

    長尺コンテンツにおけるスクロール率の活用

    縦長のランディングページや、情報量の多いコンテンツマーケティングの記事など、長尺のコンテンツにおいて、スクロール率はそのコンテンツの質を測る重要な指標です。ユーザーが長尺のページを最後まで読み進めているということは、提供されている情報がユーザーのニーズに合致し、かつ飽きさせない構成になっていることを示します。

    スクロール率を高めるための改善の視点としては、「ファーストビューの魅力度」と「コンテンツの論理的な流れ」が挙げられます。ファーストビュー(画面を開いて最初に見える範囲)でページ全体の価値を明確に伝えられなければ、ユーザーはすぐに離脱し、スクロール率は著しく低くなります。また、ページ全体を通じて、見出しや画像の配置によって視覚的なメリハリをつけ、ユーザーの関心をつなぎとめる工夫が必要です。BtoBの製品紹介LPなどでは、特にページ終盤の「料金プラン」や「問い合わせフォーム」のセクション到達率を意識し、重要なCTA(Call To Action)をユーザーが見る位置に配置することが、スクロール率活用の最終目標となります。

    Q&A

    Q1. スクロール率の計測には、どのようなツールが必要ですか?

    スクロール率の計測には、ヒートマップツールやアクセス解析ツールの拡張機能が使われるのが一般的です。Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールでもカスタムイベントとして設定可能ですが、ヒートマップツールを使うと、視覚的にスクロールの急落地点がわかるため、LPO施策では非常に有用です。

    Q2. スクロール率が低い場合、まず改善すべき点はどこですか?

    最も改善すべきは「ファーストビュー」です。ファーストビューの時点でユーザーが「このページは自分の求めているものだ」と感じなければ、それ以上スクロールされないためです。キャッチコピー、メイン画像、CTAボタンの配置を見直すLPO施策が有効です。

    Q3. スクロール率が70%で急降下しています。どのような問題が考えられますか?

    ページ構成にもよりますが、70%地点で多くのユーザーが離脱している場合、その直前にあるコンテンツがユーザーの関心を失わせている可能性があります。例えば、長すぎるテキストブロック、信頼性の低い情報、または次に提示されたオファーに魅力がないなどが原因として考えられます。

    Q4. スクロール率が高くても、コンバージョン率が低いことがありますか?

    はい、あり得ます。スクロール率が高いのは「コンテンツをよく読んでいる」という意味ですが、CVRが低い場合、ページの下部にある「CTA(行動を促す要素)」が分かりにくい、フォームの入力項目が多すぎる、またはオファー(提供価値)自体がユーザーの求めているものとズレている、といった「最後の出口」に問題がある可能性が高いです。

    Q5. スクロール率の「理想的な数値」はありますか?

    特定の理想値はありませんが、重要な要素です。例えば、LPで最も重要な情報やCTAが配置されている地点(例:全体の60%地点)で、最低でも70%以上のユーザーが到達している状態を目指すのが一つの目安です。ページの長さや目的によって許容範囲は変わります。

    関連用語

    ヒートマップ

    ファーストビュー

    コンバージョン率(CVR)

    ランディングページ

    ABテスト

    Googleアナリティクス

    離脱率

    滞在時間

    CTA

    ユーザビリティ