回遊率とは
回遊率は、Webサイトを訪れたユーザーが、1回の訪問(セッション)あたりで閲覧した平均ページ数を示す指標です。計算式としては、「総ページビュー数 ÷ セッション数」で求められます。この数字が高いほど、ユーザーがWebサイト内の複数のページに興味を持ち、深くコンテンツを読み進めているという状態を示します。
Webサイトの構造やナビゲーションがわかりやすく、ユーザーが必要とする情報へスムーズに辿り着けているかを測るバロメーターとして非常に重要視されている指標の1つです。ユーザーが Web サイトを「ユーザーがサイト内のコンテンツに興味を持って巡っているかどうか」を客観的に示す指標だと理解すると、その重要性がよくわかるでしょう。
コンテンツ戦略の成功を測るバロメーター
回遊率は、Webサイトが提供するコンテンツがユーザーのニーズに合致しているか、また、コンテンツ間の導線が適切に設計されているかを知るための重要な指標です。高い回遊率は、ユーザーが最初のページで求めている情報を見つけ、さらに関連する情報へと自然と興味を広げていることを証明します。
例えば、BtoBのオウンドメディアであれば、特定のビジネス課題に関する記事を読んだユーザーが、その記事内に設置された関連性の高い別の事例記事や、ソリューション紹介ページへと遷移している状態が理想です。逆に、回遊率が低い場合は、コンテンツが単発で終わってしまい、ユーザーの次のアクションを促せていない、あるいはナビゲーションが見づらいといった問題が潜んでいる可能性があります。
ベンチャー企業から大手企業まで、コンテンツマーケティングの効果を最大化するためには、この回遊率を分析し、改善を続けることが欠かせません。
ユーザーエンゲージメントと収益性への影響
回遊率の向上は、単にページを見てもらうというだけでなく、ユーザーとWebサイトとのエンゲージメント(関与度)を高めることにつながります。長くサイトに留まり、多くの情報に触れるユーザーほど、その企業やブランドへの理解が深まり、信頼感が醸成されるためです。
BtoCのECサイトで考えてみましょう。商品ページを閲覧した後、関連商品やレビューページ、さらには特集ページへと回遊する顧客は、そのまま離脱する顧客に比べて、最終的に商品を購入する可能性が格段に高まります。これは、回遊率が高いほど、コンバージョン(成果)に至るまでの接触機会が増えるため、結果として収益性の向上に直結することを意味します。Webサイトの設計者は、ユーザーが飽きずにサイト内を動き回れるような、スムーズで魅力的な体験を提供することを常に目指すべきでしょう。
回遊率を高めるための実用的な改善策
回遊率を高めるためには、ユーザーを次のページへ導くための具体的な施策を講じることが大切になります。最も効果的な手法の一つが、コンテンツの文脈に沿った内部リンクの設置です。
例えば、特定の機能についての解説記事の末尾に、その機能を使った具体的な活用事例へのリンクを設けることで、ユーザーの興味を途切れさせません。また、グローバルナビゲーションやサイドバー、フッターといったWebサイト全体の共通パーツのわかりやすさを改善することも有効です。大手メディアサイトのように、多くのカテゴリを持つ場合であれば、「人気記事ランキング」や「あなたにおすすめの記事」といったパーソナライズされた導線を設置することで、さらに回遊を促せるでしょう。
アクセス解析を行い、どのページからの離脱が多いかを特定し、その直前のページに改善策を適用していくアプローチが、回遊率向上のための実務的なプロセスとなります。
Q&A
Q1. 回遊率の平均的な目安はどれくらいですか
回遊率は、Webサイトの種類(ECサイト、オウンドメディア、コーポレートサイトなど)や業種によって大きく異なるため、一概に「この数字が良い」と言える目安はありません。重要なのは、他社との比較よりも、自社の過去の数値と比較して改善傾向にあるかをチェックすることです。一般的には、情報量の多いオウンドメディアやECサイトでは高く、ランディングページ(LP)のように特定の目的を持つページでは低くなる傾向があります。
Q2. 回遊率と直帰率・離脱率の違いは何ですか
回遊率は「ユーザーがどれだけ多くのページを見たか」というサイト内での深さを示す指標です。一方、直帰率は「最初に訪れたページから他のページに移動せず、サイトを去った割合」、離脱率は「特定のページがそのセッションでの最後の閲覧ページとなった割合」を示します。回遊率が高いほど、通常は直帰率が低くなるという相関関係があります。
Q3. 回遊率を上げることのSEO上のメリットはありますか
回遊率の高さは、ユーザーがWebサイトのコンテンツに満足し、価値を見出していることの裏付けとなります。Googleなどの検索エンジンは、ユーザーのWebサイト滞在時間や閲覧ページ数といったエンゲージメントを示す要素を間接的に評価しているとされています。そのため、回遊率の改善は、間接的ではありますが、検索順位の向上、つまりSEO効果にも良い影響を与える可能性が高いと考えられます。
Q4. ランディングページ(LP)の回遊率は気にしなくても良いですか
ランディングページ(LP)の目的は、多くの場合、訪問者を他のページに回遊させることではなく、設定されたコンバージョン(成果)を達成させることです。そのため、LPの回遊率は低くても問題ありません。むしろ、LPから他のページに回遊してしまうことは、コンバージョンに至る集中力を削ぐ可能性があるため、LPにおいては回遊率よりも直帰率やコンバージョン率を重視すべきです。
Q5. 回遊率を分析する際に、特に注目すべきページはありますか
回遊率を改善するために注目すべきは、「サイトへの入り口となっている主要な集客ページ」と「回遊が途切れてしまう、離脱率が高いページ」です。集客ページでは、次に読むべきコンテンツへの導線が明確かを確認し、離脱率が高いページでは、ユーザーが求めている情報が不足していないか、あるいは別の関心事へ導くリンクが適切に設置されているかを確認すると良いでしょう。