リードスコアリングとは
リードスコアリングとは、獲得した見込み客(リード)に対して、その後の購入や契約に至る可能性を評価するために、点数(スコア)を付与する手法です。見込み客の属性(企業規模、役職など)と行動履歴(Webサイトの訪問回数、資料ダウンロード、メール開封など)に基づき、事前に設定したルールに従ってスコアを算出します。このスコアが高い見込み客は「今すぐ客」と判断され、営業部門に引き渡されます。リードスコアリングは、マーケティング部門と営業部門の連携を強化し、限られたリソースの中で最も効率良く売上を上げるために不可欠なプロセスです。
スコアリングで実現する営業活動の効率化
リードスコアリングの最大の目的は、営業部門の活動を効率化すること、つまり「確度の高い見込み客」にのみ集中させることです。多くの見込み客を抱えるBtoB企業や、高額な商材を扱う企業にとって、全ての見込み客に均等にアプローチするのは非効率的です。
スコアリングがなければ、営業担当者は膨大なリストの中から手探りで追うべき顧客を探すことになります。しかし、スコアリングを導入すれば、「合計スコアが50点を超えたら営業へ自動通知する」といったルールを設定できます。例えば、大手SaaS企業であれば、「競合製品の価格ページを3回以上閲覧し、かつ役職が部長以上」の見込み客に高いスコアを付与し、即座にインサイドセールスがアプローチできるようにします。
これにより、マーケティング部門はスコアの低い見込み客に対しては、継続的な情報提供(ナーチャリング)に専念でき、営業部門は確度の高い商談に集中できます。大手企業もベンチャー企業も、この仕組みによって、組織全体の生産性を劇的に向上させることが可能になります。
行動データと属性データを組み合わせた設計の重要性
リードスコアリングの設計において、スコア付与のルールは、「行動(エンゲージメント)」と「属性(プロファイル)」の二つの側面からバランス良く設定することが重要です。
行動データは、見込み客の「関心の強さ」を示します。「価格ページ閲覧」や「ウェビナー参加」などは高得点にすべきです。しかし、関心が高くても、BtoBであれば「個人事業主」や「従業員数10名未満」といった属性の場合、ターゲット顧客ではないかもしれません。
そのため、属性データも重要です。ターゲット企業像に合致しない属性にはマイナス点(ネガティブスコア)を付与したり、「企業規模1,000名以上」にはボーナス点を付与したりするなど、属性の適合度を組み込みます。この行動と属性の組み合わせによって初めて、「関心度が高く、かつターゲットに合致した優良な見込み客」を抽出し、営業部門へ引き渡せる状態(MQL:マーケティング・クオリファイド・リード)にすることができるのです。
Q&A
Q1. リードスコアリングはBtoB専用の概念ですか?
主にBtoBマーケティングで使われますが、BtoCでも高額商品や定期購入サービスなどで活用されています。例えば、保険や不動産など、検討期間が長く複雑な購買プロセスを持つBtoCサービスでは、見込み客の行動をスコアリングして営業フォローの優先順位付けを行います。
Q2. スコアリングの配点はどのように決めれば良いですか?
理想的には、過去の成約データや顧客生涯価値(LTV)データに基づき、成約につながった行動や属性に高い点数を、そうでない行動には低い点数を、離脱行動にはマイナス点を付与します。最初は仮説で設定し、運用しながらアクセス解析やCRMデータで検証し、調整を続けるのが一般的です。
Q3. スコアリングを導入するメリットは何ですか?
最大のメリットは、営業部門が見込み客の「確度」に基づいて優先順位をつけてアプローチできるため、営業活動が効率化し、売上につながる確率が高まることです。また、マーケティング部門は、スコアの低い見込み客のナーチャリングに注力できるようになります。
Q4. LPOやABテストはスコアリングにどう貢献しますか?
LPOやABテストは、スコアリングに必要な見込み客の行動データ(例えば、資料ダウンロードや特定のボタンクリックなど)を、より高いCVRで獲得できるように貢献します。質の高い行動データを増やすことで、スコアリング自体の精度も向上します。
Q5. ネガティブスコア(マイナス点)はどのような場合に使いますか?
ネガティブスコアは、購買意欲が低いと判断できる行動や、ターゲット外の属性に対して使われます。例えば、「採用ページを頻繁に閲覧している」「競合他社のIPアドレスからアクセスしている」「退職した担当者」などの行動や属性に付与し、営業リソースの無駄遣いを防ぎます。
関連用語
マーケティングオートメーション(MA)
コンバージョン率(CVR)