キーワードプランナーとは
キーワードプランナーは、Googleが提供するWeb広告配信サービス(Google広告)の中に組み込まれている無料のツールです。主に、リスティング広告で使用するキーワードの選定や、その検索ボリューム、広告のクリック単価(CPC)の目安などを調査するために使われます。Web広告の予算策定や、コンテンツマーケティングのテーマ選定など、デジタルマーケティング戦略の土台作りにおいて欠かせないツールです。このツールを活用することで、ユーザーがどのような言葉で検索しているのかという「潜在的な需要」を数値として把握できます。
検索ボリュームから需要の大きさを予測する
キーワードプランナーを活用する最大のメリットは、具体的な「検索ボリューム」を知ることで、市場の需要の大きさを客観的に予測できる点にあります。特定のキーワードが月にどれくらいの回数検索されているかを把握できれば、そのキーワードでWeb広告やコンテンツを配信した場合に、どれくらいのトラフィックが見込めるかを事前にシミュレーションできます。
例えば、BtoCの旅行代理店であれば、「沖縄旅行 格安」のようなビッグキーワードのボリュームは大きいものの競争も激しいと予測できます。一方で、「沖縄 離島 ワーケーション」のように、ニッチだが購買意欲が高い可能性のあるキーワードも発見できます。
BtoBビジネスにおいても、「SaaS 導入 失敗事例」のように、課題解決に直結するキーワードのボリュームを知ることで、コンテンツ戦略やWeb広告のターゲットキーワードを効果的に選定できます。大手企業もベンチャー企業も、このデータに基づいた戦略によって、限られたリソースを最も効果的なキーワードに集中投下できるようになります。
予算策定と入札戦略に活かすCPCの目安
キーワードプランナーは、単にキーワードの候補を見つけるだけでなく、広告運用の予算策定に不可欠な情報を提供します。それは、キーワードごとの「入札単価の目安」です。具体的には、「ページ上部に表示させるための入札単価(低額帯・高額帯)」が示されます。
これにより、狙いたいキーワードで上位表示を目指すために、どれくらいの予算が必要になるかを事前に把握できます。例えば、「転職エージェント」といった競争の激しいキーワードは入札単価が高額になることが予測できますが、「40代 転職 専門職」のようにニッチなキーワードであれば、比較的安価なCPCで効率的に集客できる可能性があります。
このCPC目安を活用することで、広告費の総額や、顧客獲得単価(CPA)の目標値を設定できます。また、CPCが高いキーワードをあえて避け、費用対効果の高いキーワードに集中する、といった戦略的な判断を下すための根拠となります。
LPOとABテストの訴求軸を見つける起点となる
キーワードプランナーで見つけたキーワードは、リスティング広告だけでなく、ランディングページ最適化(LPO)やABテストの「訴求軸」を見つけるための重要な起点にもなります。ユーザーが検索したキーワードは、まさにそのユーザーが抱える悩みやニーズの核心を表しているからです。
例えば、「マーケティングオートメーション 比較」というキーワードで検索しているユーザーは、既に製品を検討する段階にいることがわかります。このキーワードで流入したユーザー向けのランディングページ(LP)では、単なる製品紹介ではなく、「他社製品との明確な違い」や「導入事例の比較」といったコンテンツを前面に出すべきというLPOの方向性が定まります。
また、「無料トライアル」を訴求する広告と「導入効果」を訴求する広告をABテストする際も、キーワードプランナーで見つけたキーワードの傾向(情報収集段階か、購入検討段階か)に応じて、訴求内容を決定します。このように、ツールは単なる広告のキーワード選定にとどまらず、CVRを改善するためのLPの設計思想にまで影響を与えるのです。
Q&A
Q1. キーワードプランナーは誰でも無料で使えますか?
Google広告のアカウントさえ持っていれば、誰でも無料で利用できます。ただし、実際にGoogle広告でキャンペーンを配信していない場合、検索ボリュームのデータが「100~1,000」のように広範囲な概算値でしか表示されないことがあります。
Q2. 検索ボリュームが「0」に近いキーワードは無視しても良いですか?
必ずしも無視すべきではありません。検索ボリュームが少なくても、そのキーワードが非常に具体的でニッチな場合(例:ロングテールキーワード)、競合が少なく、コンバージョン率(CVR)が非常に高くなる可能性があります。
Q3. キーワードプランナーはSEO対策にも役立ちますか?
大いに役立ちます。検索ボリュームのデータは、Webサイトのコンテンツを制作する際、どのキーワードの需要が高いか、つまりどのテーマで記事を書くべきかを判断するのに役立ちます。SEO対策におけるキーワード選定の基本ツールです。
Q4. 画面に表示される「入札単価」は、必ず払わなければならない金額ですか?
いいえ、表示されているのは「目安」です。実際に支払うクリック単価(CPC)は、広告ランクや品質スコアによって変動します。品質スコアが高ければ、目安よりも低い単価で上位表示できることもあります。
Q5. 競合が使っているキーワードを調査することはできますか?
直接的に「競合がどのキーワードにいくら入札しているか」といった詳細な情報はわかりませんが、キーワードプランナーの関連キーワードの提案機能や、サードパーティのツールを組み合わせることで、競合がカバーしている領域を間接的に調査することは可能です。
関連用語
コンバージョン率(CVR)