インプレッション課金とは
インプレッション課金とは、広告が表示された回数（インプレッション数）に基づいて広告費用が決定される料金体系のことです。英語ではCPM（Cost Per Mille/Thousand）と呼ばれ、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生します。この方式は、広告がクリックされるかどうかに関わらず、ユーザーの目に触れること自体に価値があると見なされる、認知拡大やブランディングを目的とした広告キャンペーンで広く用いられます。テレビCMや新聞広告のように、多くの人に広告を見てもらうことが目的の場合に、この課金形態が適しています。
認知拡大を重視するブランディング戦略
インプレッション課金は、特に企業のブランド認知度を高めたい、あるいは新商品・新サービスを一気に市場に浸透させたいと考える大手企業やベンチャー企業の初期フェーズで強力な武器になります。広告がユーザーの目に触れる回数に費用を払うため、クリックやコンバージョンといった「行動」の前に、まず「知ってもらう」という目標を確実に達成できます。
例えば、新しいBtoCの飲料ブランドがターゲット層に広くリーチしたい場合、クリック単価が高い検索広告よりも、多くのWebサイトやSNSのフィードに広告を表示できるインプレッション課金型のディスプレイ広告を大規模に展開することで、短期間で高い認知効果を得ることが可能です。この戦略は、すぐに売上につながらなくても、将来の購買行動を促す土台作りの費用として捉えることが大切です。
費用対効果を測るための指標CPCとの関係
インプレッション課金型の広告を運用する際、費用対効果を評価するために、必ずCPC（Cost Per Click/クリック単価）を計算する必要があります。広告を1,000回表示する費用（CPM）がわかっても、クリックされなければ次の行動につながりません。
CPCは、「広告費用÷クリック数」で算出され、インプレッション課金の場合、「CPM÷（クリック率×1,000）」という形で計算できます。もし、CPMが安くてもクリック率（CTR）が極端に低い場合、算出されるCPCは高くなり、結果的にクリックを目的とした広告としては非効率的ということになります。そのため、広告クリエイティブやターゲット設定を工夫してクリック率を高めることが、インプレッション課金広告における次のステップ、つまりサイトへの集客効率を高めるための重要な施策になるのです。
ターゲット層への確実なリーチとフリークエンシーの管理
インプレッション課金は「表示回数」を保証するため、特定のターゲット層に対して広告を確実にリーチさせたい場合に非常に有効です。しかし、同じ広告を何度も見せすぎると、ユーザーに「しつこい」と感じさせ、ブランドイメージを損なうリスクも生じます。
このリスクを回避するために、マーケターは「フリークエンシー（接触頻度）」の管理を徹底する必要があります。広告をユーザー一人あたりに何回まで表示させるかをコントロールする設定です。また、BtoB商材のように、ターゲットが限定的な場合、興味のない多数のユーザーに表示し続けるのは無駄になります。そのため、インプレッション課金であっても、デモグラフィックデータや興味関心データに基づいた高度なターゲティングを組み合わせることが、広告費の効率を高める上での重要なテクニックになります。
Q＆A
Q1. インプレッション課金とクリック課金（CPC）の最も大きな違いは何ですか？
最も大きな違いは、「課金の発生条件」です。インプレッション課金は、広告がユーザーの目に触れた（表示された）回数に対して費用が発生します。一方、クリック課金は、ユーザーが実際に広告をクリックしてサイトに訪問したときのみ費用が発生します。
Q2. どのような広告目的の場合にインプレッション課金を選ぶべきですか？
インプレッション課金は、主に「認知拡大」と「ブランディング」が目的の場合に選びます。ブランド名や新商品を、できるだけ多くの人に見てもらいたい、知ってもらいたいという段階で有効です。直接的な売上獲得を目指す場合は、コンバージョンに近いクリック課金や成果報酬型広告が適している場合が多いです。
Q3. インプレッション課金広告の費用対効果を高めるにはどうすれば良いですか？
費用対効果を高めるには、まず広告のクリック率（CTR）を改善することが鍵です。魅力的なクリエイティブや訴求力の高いメッセージに変えてCTRを向上させれば、同じ表示回数（CPM）でより多くのクリックを獲得でき、結果的にCPC（クリック単価）が下がり、効率が向上します。
Q4. インプレッション課金は、どのような種類の広告で使われますか？
インプレッション課金は、主にディスプレイ広告（Webサイトの広告枠に表示される画像や動画の広告）、一部のSNS広告、そして動画広告などの、視覚的な要素が強く認知に繋がりやすい形式の広告で広く使われています。
Q5. 広告が表示されただけで、費用が発生する「インプレッション」の定義は何ですか？
一般的に、広告の半分以上がユーザーの画面に1秒以上表示された場合に「視認可能（Viewable）」なインプレッションとしてカウントされ、課金対象となります。単にWebページ上に広告データが読み込まれただけではカウントされず、実際にユーザーが認識できる状態にあったことが重要視されます。
関連用語
コンバージョン率（CVR）
クリック率（CTR）