デモグラフィックデータとは
デモグラフィックデータとは、主に性別、年齢、居住地域、職業、学歴、世帯年収、家族構成など、個人や集団を統計的に分類するために用いられる基本的な属性情報のことです。これは、直訳すると「人口統計学的データ」となり、マーケティングにおいては、顧客やターゲット層を理解するための土台となるデータとして活用されます。商品やサービスのターゲットを定めるペルソナ作成の基礎情報になったり、広告配信のセグメントを絞り込んだりする際に、最初に参照されることが非常に多い重要なデータと言えます。
マーケティング施策の土台となる顧客の「基本情報」
デモグラフィックデータは、マーケティング戦略を立てる上で最も初期かつ重要な判断材料を提供します。このデータがなければ、誰に向けて商品を売るべきか、どのメディアに広告を出すべきかといった、基本的な方向性を定めることができません。
例えば、BtoCのフィットネスジムを運営するベンチャー企業が新しいWeb広告を打つ際、アクセス解析の結果から「平日の昼間にサイトを訪れるのは30代の主婦が多い」というデモグラフィックデータを把握すれば、広告のクリエイティブをその層に合わせた内容に変更できます。また、大手企業が新しい高級車を開発する際も、「富裕層が多く住む地域に住み、一定以上の世帯年収を持つ40代の男性」といったデモグラフィックな条件でターゲット層を絞り込み、その層のライフスタイルに合わせたプロモーションを展開するでしょう。このデータは、顧客の全体像を把握し、リソースを最も効果的に配分するための土台となるのです。
BtoBマーケティングにおけるデモグラデータの活用
デモグラフィックデータは、BtoCだけでなくBtoBマーケティングにおいても、ターゲット企業を特定する上で欠かせない情報となります。ただし、BtoBの場合は個人の属性ではなく、「企業」の属性情報として扱われることが多いです。
BtoBにおけるデモグラフィックデータは、「企業規模(従業員数)」「業種」「売上高」「所在地」などが該当します。たとえば、Webツールを提供するベンチャー企業が新しい営業リストを作成する際、「従業員数50名以上、IT・通信業の企業」といったデモグラフィックな条件でリードをセグメントし、優先的にアプローチする企業を絞り込むことができます。これにより、営業効率を大きく向上させることが可能です。大手企業が市場調査を行う際も、このデータを使って業界全体の潜在顧客数や市場規模を推計し、新規参入の可否を判断するための重要な根拠とします。
サイコグラフィックデータと組み合わせる高度な活用法
デモグラフィックデータは、顧客の「誰であるか(Who)」を把握するのに優れていますが、顧客が「なぜ購入に至ったか(Why)」や「どのような価値観を持っているか」といった内面的な動機までは捉えきれません。そこで重要になるのが、サイコグラフィックデータとの組み合わせです。
サイコグラフィックデータとは、顧客のライフスタイル、価値観、興味関心、購買動機などの心理的・行動的な側面のデータです。たとえば、「30代、年収500万円の既婚女性(デモグラフィック)」が、「環境問題に関心が高く、少々高くてもオーガニック商品を選ぶ(サイコグラフィック)」といった形です。この二つのデータを掛け合わせることで、単なる属性に基づくだけでなく、より深い顧客のインサイト(潜在的なニーズ)に基づいた、精度の高いターゲティングや訴求メッセージの作成が可能になります。効果的なWeb広告運用や、ターゲットに響くコンテンツ作成には、この組み合わせが不可欠と言えるでしょう。
Q&A
Q1. デモグラフィックデータはどのように取得するのですか?
デモグラフィックデータは、主にWebサイトの会員登録時やアンケートを通じて顧客から直接入力してもらう方法で取得します。また、アクセス解析ツール(Google Analyticsなど)や広告プラットフォームの機能を通じて、匿名化された形でユーザーの属性情報を推定することも可能です。市場調査会社が提供する公的な統計データを利用する場合もあります。
Q2. デモグラフィックデータだけでマーケティングは成功しますか?
デモグラフィックデータは施策の土台ですが、それだけでは成功は難しいです。なぜなら、同じ年齢や性別でも、購買行動や好みは人それぞれ異なるからです。成功には、デモグラフィックデータに加えて、顧客のWebサイト内での行動履歴や購買動機といったサイコグラフィックデータを組み合わせ、より立体的な顧客像(ペルソナ)を描くことが重要になります。
Q3. BtoBにおける「デモグラフィック」は、個人の属性とどう区別すべきですか?
BtoBでは、個人(担当者)の属性ももちろん重要ですが、それ以上に「企業の属性」をデモグラフィックデータとして扱います。具体的には、「業種」「企業規模」「売上」などです。個人の役職や部門といった情報は、BtoBにおいてはより詳細な「ターゲティング情報」として活用されます。
Q4. 広告運用でデモグラフィックデータを活用するメリットは何ですか?
広告運用における最大のメリットは、無駄な広告費を削減し、費用対効果を高められることです。ターゲット層ではないユーザーへの広告配信を避け、購入確率の高いユーザー層に絞って配信することで、効率的な集客を実現できます。特にWeb広告では、年齢や地域で細かくセグメントを区切って配信することが一般的です。
Q5. サイトのアクセス解析でデモグラフィックデータの傾向がわかった場合、次に何をすべきですか?
傾向がわかったら、まずはそのデータが「想定通りか否か」を検証してください。想定通りでなければ、ターゲット設定を見直す必要があります。想定通りであれば、「そのデモグラフィック層がなぜコンバージョンに至らなかったのか」をさらに深掘りするため、Webサイト内での行動(どのページで離脱したかなど)を分析し、ランディングページ(LP)やコンテンツの改善に着手すべきです。
関連用語
コンバージョン率(CVR)