カスタマージャーニー

    カスタマージャーニーとは

    カスタマージャーニーは、見込み客が商品やサービスを知ってから比較・検討し、購入後に継続利用や推奨へ進むまでの一連の体験を「旅」として捉える考え方です。各段階での行動(何をするか)・思考(何を考えるか)・感情(どう感じるか)、そして接点となるチャネル(広告、Web、SNS、営業、サポートなど)を時系列で見える化します。旅を地図にすることで、どこでつまずき、何が後押しになるのかを具体的に掴めます。

    なぜ重要なのか

    ユーザーの意思決定は、ほとんどの場合単一チャネルでは完結しません。検索やSNSで知り、レビューで確かめ、Webで比較し、問い合わせやトライアルで納得し、購入後のサポートで継続を判断します。旅全体を俯瞰できると、伝える内容とタイミングが整い、無駄な配信や機能追加を減らし、必要な接点に投資できます。
    BtoCでは、たとえば「SNS→商品ページ→決済」という短めの旅でも、送料や支払い方法の不安が立ち止まりの原因になります。BtoBはさらに長く、課題認識→情報収集→比較・社内共有→稟議→導入→活用と進むため、各段階で求められる根拠(事例・ROI・セキュリティ・サポート)が明確であるほど先に進みやすくなります。

    カスタマージャーニーマップの作り方と活用方法

    まずは主要なフェーズ(認知/検討/比較/購入・導入/活用・推奨)を並べ、各フェーズでの行動・思考・感情・接点を書き出します。最初は仮説で構いませんが、GA4などのアクセス解析、Clarityなどのヒートマップ、インタビューやユーザーテストで現実に寄せていきます。
    完成したマップは、社内で共通言語として活用します。マーケは訴求とコンテンツを、Web担当は導線と情報量を、営業は提案資料と事例を、CSはオンボーディングやヘルプを、それぞれどのフェーズの誰に何を渡すかで整えていきます。作って終わりではなく、四半期などで更新し、事業と一緒に育てるのがコツです。

    カスタマージャーニー × LPO・ABテスト

    カスタマージャーニーは「どこを直せば成果が伸びるか」を教えてくれる地図です。まず地図(マップ)で“つまずき”を見つけます。

    たとえば「価格ページで不安が強い」と分かったなら、ページの見せ方を変えていきます。これがLPO(ランディングページ最適化=着地ページの体験を良くすること)です。料金の比較表を分かりやすく置き、費用の根拠や返金・最低契約期間をはっきり書く。フォームでの離脱が多いなら、必須項目を減らし、入力ミスをその場で知らせる仕組み(リアルタイムエラー)や自動補完を入れて、迷いと手間を減らします。

    ページの変更案ができたら、ABテスト(A案とB案を同時に出して、どちらが成果につながるか比べる方法)で、もともとの見せ方と新しい見せ方のどちらコンバージョン率が高いかを確かめます。

    BtoCなら、スマホの最初に見える範囲(ファーストビュー)の情報量やCTA(行動ボタン)の文言・位置を少しずつ変えて、どれが一番進みやすいかを検証。BtoBなら、導入事例をどこに置くか、上司に共有しやすい資料への導線をどう見せるかを比べ、数字で判断します。

    流れはシンプルです。データで発見する → ページ体験を設計して直す(LPO) → 小さく比べて確かめる(ABテスト)。この循環を回し続けるほど、ユーザーの“旅”は滑らかになり、コンバージョン率や継続利用といった結果にきちんと効いてきます。

    Q&A

    Q1. カスタマージャーニーマップは誰が作るのですか?

    マーケティング部門が中心となって作ることが多いですが、営業やカスタマーサポートなど、顧客と接する機会があるすべての部署の意見を取り入れることが重要です。

    Q2. マップには何を書けばいいですか?

    旅の段階(フェーズ)、顧客の行動、思考、感情、そして顧客との接点(チャネル)などを書き込みます。顧客の気持ちを深く理解するために、定性的な情報も重要です。

    Q3. どのように使いますか?

    組織内で共有し、顧客視点でビジネスプロセスを見直すために使います。また、各部門が個別の施策を計画する際の指針としても活用できます。

    Q4. 作成時の注意点は?

    顧客の行動を想像で終わらせず、アクセス解析やユーザーインタビューなどのデータに基づいて作成することが重要です。GA4やClarityのデータ、ユーザーテスト・インタビューなど定量×定性で裏取りするのが良いでしょう。また、一度作って終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。

    Q5. 役立つデータは?

    GA4の流入・行動・離脱、Googleサーチコンソールの検索意図、ヒートマップの注視・クリック、CSログやNPS、営業ヒアリングなどが有効です。

    Q6. BtoBのBtoCでの違いはありますか?

    toCは比較的短期で衝動的な意思決定が多いのに対し、toBは意思決定に関わる人が多く、検討期間が長いため、より詳細で複雑なジャーニーになります。

    Q7. 作成のメリットは?

    顧客の課題やニーズを深く理解でき、適切なタイミングで最適な情報を提供できるようになります。結果的に、顧客満足度の向上やコンバージョン率の改善に繋がります。

    Q8. カスタマージャーニーとLPOはどう関係しますか?

    ジャーニーが示す問題箇所を、Web上の接点で具体的な改善(LPO)に落とし込みます。料金の不安なら価格ページ、信頼の不足なら事例や実績を強化する、といった具合です。

    Q9. マップは一つだけ作ればいいですか?

    いいえ、ターゲットとするペルソナ(顧客像)が複数いる場合は、それぞれに合わせたカスタマージャーニーマップを作成するのが理想的です。

    Q10. ファネルとはどう違いますか?

    ファネルは顧客の数を段階的に絞り込んでいく概念であるのに対し、カスタマージャーニーは顧客の行動や感情に焦点を当てたものです。両者は補完関係にあり、ファネルの各段階で顧客のジャーニーを深く理解することが重要です。

    関連用語

    ペルソナ

    CX

    LPO

    ABテスト

    コンバージョン率(CVR)

    ファネル

    ヒートマップ

    アクセス解析

    UI

    UX

    KGI

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    リードナーチャリング

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