クローラーとは
クローラーとは、GoogleやBingなどの検索エンジンが、世界中のWebサイトの情報を自動的に収集するために巡回させているプログラムのことです。別名「スパイダー」や「ボット」とも呼ばれ、Web上をまるで蜘蛛の巣を伝うように移動しながら、新しいページや更新されたコンテンツを見つけ出し、検索エンジンのデータベースに持ち帰る役割を担っています。このクローラーによって情報が収集されなければ、どんなに素晴らしいコンテンツでも検索結果に表示されることはありません。Webマーケティング、特にSEOにおいて、クローラーがスムーズにサイト内を巡回できる環境を整えることは非常に重要になります。
クローラーがWebサイトを巡回する仕組み
クローラーがWebサイトを巡回するプロセスは、主に「クロール」と「インデックス登録」の二段階で構成されます。まずクローラーは、サイト内にあるリンクを辿りながらページを巡回し、そのページに書かれているテキスト、画像、HTMLコードなどの情報を読み込みます。この情報収集のプロセスを「クロール」と呼びます。
次に、収集した情報を検索エンジンの巨大なデータベースに登録する作業に移ります。これが「インデックス登録」です。インデックス登録されて初めて、そのWebページが検索結果に表示される資格を得ることになります。大手企業の大規模なWebサイトであろうと、ベンチャー企業が立ち上げたばかりのLPであろうと、クローラーがその存在を認識し、インデックスに登録されなければ、ユーザーに見つけてもらうことはできないというわけです。この仕組みを理解することは、SEO対策の基本中の基本と言えます。
マーケティング成果に直結するクロールの最適化
クローラーの動きを理解し、自社サイトが効率よく巡回されるように最適化する施策は、マーケティング成果に直結します。なぜなら、クローラーの巡回が遅れたり、途中で詰まってしまったりすると、せっかく更新したコンテンツがなかなか検索結果に反映されず、ビジネスチャンスを逃す可能性があるからです。
この「クローラビリティ(クローラーの巡回しやすさ)」を高めるために、マーケターが実践すべきことがあります。具体的には、サイトマップ(sitemap.xml)を正確に作成し、クローラーにサイト全体の構造を伝えることが大切です。また、ページの読み込み速度を改善したり、内部リンクの構造をシンプルで分かりやすいものにしたりすることも効果的です。BtoBの企業サイトで新サービスの詳細ページを公開した際、すぐに検索上位に表示させるためには、これらの技術的な側面にも配慮したWebサイト設計が求められます。
クローラーを意図的にコントロールする技術
すべてのページを検索エンジンに登録させたいわけではないというケースも存在します。たとえば、Webサイトの裏側にある管理画面のURLや、会員登録が完了した後のサンクスページ、テスト用に作成したページなどは、検索結果に表示させたくない情報です。このような場合、マーケターはクローラーの巡回を意図的にコントロールする必要があります。
これを行う代表的な方法が、robots.txtファイルの利用です。このファイルをWebサイトのルートディレクトリに配置することで、クローラーに対して「このディレクトリ以下はクロールしないでください」という指示を出すことができます。また、特定のページ単位でインデックス登録を拒否したい場合は、HTMLコード内にnoindexタグを記述する方法も有効です。これらの技術を駆使することで、公開すべき情報と非公開にすべき情報を明確に区別し、Webサイトの品質とセキュリティを維持することが可能になります。
Q&A
Q1. クローラーが自分のサイトに来ているか確認する方法はありますか?
はい、あります。Googleが提供する無料ツールである「Google Search Console(サーチコンソール)」を利用することで、クローラーの巡回頻度や、クロールでエラーが発生していないかといった詳細な情報を確認できます。SEO対策を行う上で、このツールでの確認は必須と言えるでしょう。
Q2. クローラーがWebサイトに来ない場合、何が問題と考えられますか?
主な問題として、「新規に公開したばかりでまだ認識されていない」「他のサイトからのリンクが極端に少ない」「サイトの構造が複雑すぎてクローラーが辿れない(迷子になる)」「robots.txtでクロールを拒否している」といった理由が考えられます。特にサーバー負荷が高い場合、クロールが抑制されることもあります。
Q3. クローラーに「クロールしてほしくないページ」を伝える方法は?
主に二つの方法があります。一つは「robots.txt」ファイルを使ってディレクトリ単位でクロール自体を拒否する方法です。もう一つは、特定のページのHTML内に「noindex」タグを記述し、クロールは許可するがインデックス登録はさせないという方法があります。
Q4. クローラーの巡回頻度を上げるにはどうしたら良いですか?
巡回頻度を上げるには、主に「コンテンツの更新頻度を高める」ことと「良質な被リンクを増やす」ことが効果的です。検索エンジンは、頻繁に更新され、多くのサイトから参照されているWebサイトを重要だと判断し、クローラーを頻繁に送り込む傾向があります。
Q5. クローラーが理解しやすいWebサイトとは、具体的にどのようなものですか?
クローラーが理解しやすいサイトとは、HTMLの構造がシンプルで整理されており、テキスト情報が中心となっているサイトです。画像や動画ばかりでテキスト情報が少なかったり、内部リンクが複雑で分かりにくかったりすると、クローラーは内容を正確に把握しにくくなります。
関連用語
コンバージョン率(CVR)