指名検索とは
指名検索とは、検索エンジンを利用するユーザーが、商品名、サービス名、会社名、ブランド名、サイト名など、特定の固有名詞を含めて行う検索行動のことを指します。例えば、「〇〇株式会社 サービス内容」や「商品名 口コミ」といった検索がこれにあたります。これは、ユーザーが既にそのブランドや製品について認知しており、高い関心や購買意欲を持って情報を求めている状態を示しています。この指名検索のボリュームが増えることは、広告などの集客に頼らない「ブランドの認知度と信頼性」が向上している証拠であり、マーケティング成果を測る上で非常に重要な指標の一つとされています。
ブランドの強さを測る確かなバロメーター
指名検索は、企業が展開する広告、広報、コンテンツマーケティングといった全ての活動が、顧客の認知や記憶にどれだけ影響を与えているかを測るバロメーターとして機能します。ユーザーが特定の名前を検索窓に入力するという行為は、一般的なキーワード(例:「SaaS 比較」「コスメ おすすめ」)で検索するよりも、購入や申し込みといったコンバージョンに至る確度が高いことを示唆します。
BtoCのECサイトで、テレビCMを見たユーザーが「ブランド名 通販」と検索してサイトを訪れる場合、その後の購入率は非常に高くなります。また、BtoBのベンチャー企業が業界イベントやウェビナーで自社のソリューションを紹介した後、「企業名 導入事例」といった指名検索が増えれば、それがリード獲得の確かな兆しと判断できます。指名検索の増加は、ブランドが顧客の心の中に確固たるポジションを築けている、という信頼の証でもあるのです。
効率的な広告運用とSEOへの好影響
指名検索のボリュームが増えることは、広告運用とSEOの両面において、極めてポジティブな影響をもたらします。まず広告においては、指名キーワードでの検索広告は競合性が低く、一般キーワードに比べて顧客獲得単価(CPA)が低くなる傾向があります。これは、ユーザーの購入意欲が高いため、少ないコストでコンバージョンを獲得できることを意味します。
次にSEOの観点では、指名検索によるWebサイトへの流入増加は、検索エンジンに対して「このサイトはユーザーに強く求められている」というシグナルを送ることになります。このユーザーからの高い需要は、Webサイトの権威性(オーソリティ)を高める要因の一つと見なされ、結果的に一般キーワードでの検索順位向上という形で間接的な好影響を与えると考えられています。大手企業が多額の予算を投じてブランディングを行うのも、最終的にはこの指名検索の増加による効率的な集客と安定した収益基盤を目指しているからに他なりません。
指名検索を促すための認知施策と顧客体験
指名検索の発生源は、Webサイトの外にある様々なチャネルです。そのため、マーケターは、Webサイトに来る前の「顧客との接点」を増やし、ブランド名を覚えてもらうための工夫を凝らす必要があります。
具体的な施策としては、リスティング広告やSNS広告といったデジタル広告だけでなく、YouTubeなどの動画プラットフォームでのブランド訴求、プレスリリースを通じたメディア露出、そして展示会やウェビナーといったオフライン・オンラインイベントでの積極的な発信が挙げられます。また、ブランド名だけでなく、「商品名+評判」といった関連するキーワードでの指名検索を増やすためには、製品の品質やカスタマーサポートの対応を高め、顧客満足度(CS)を向上させる努力が欠かせません。満足度の高い顧客が口コミを通じてブランド名を推奨してくれるサイクルを確立することが、持続的な指名検索増加への道となります。
Q&A
Q1. 指名検索が多いと、なぜコンバージョン率(CVR)が高くなるのですか?
指名検索を行うユーザーは、既にそのブランドや商品を知っており、具体的な目的を持ってサイトを訪れているため、購入や申し込みといった最終的な行動への意欲が非常に高いからです。そのため、一般キーワードからの流入と比較して、高い確率でコンバージョンに至る傾向があります。
Q2. 指名検索の増加は、SEOに直接的な影響を与えますか?
直接的な順位決定要因とはされていませんが、指名検索が増えることで、Webサイトへのトラフィックが増加し、検索エンジンは「ユーザーに価値を提供している信頼性の高いサイト」だと評価する傾向があります。これは、間接的にWebサイト全体のオーソリティを高め、一般キーワードでの順位上昇につながる可能性があります。
Q3. 指名検索のボリュームは、どのように測定すれば良いですか?
Google Search Console(サーチコンソール)の「検索結果」レポートで、自社ブランド名や商品名を含むキーワードの表示回数やクリック数を調べることができます。また、Google広告のキーワードプランナーでも、指名キーワードの検索ボリュームを確認することが可能です。
Q4. BtoBの企業が指名検索を増やすための効果的な施策は何ですか?
BtoBでは、業界の専門家を招いたウェビナー開催、特定の課題解決に特化したダウンロード資料の提供、顧客の成功事例を詳細に紹介する記事コンテンツの制作などが効果的です。これらを通じて見込み客に認知され、企業名やサービス名で検索してもらうきっかけを作ります。
Q5. 指名検索を増やすことが難しい場合の対策はありますか?
指名検索が少ない場合は、まずブランド認知度が低いことが原因と考えられます。SNS広告や動画広告などを活用し、ターゲット層にブランド名やキャッチコピーを繰り返し露出する認知施策を強化すべきです。同時に、Webサイト上の顧客体験(CX)やカスタマーサポートの質を改善し、ブランドに対するポジティブな評判を確立することも重要です。
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