入札単価とは
入札単価とは、リスティング広告やディスプレイ広告などの運用型広告において、広告主がユーザーの一つの行動(クリックやインプレッションなど)に対して支払っても良いと設定する上限金額のことです。これは、オークション形式で広告の掲載順位や表示回数が決定されるデジタル広告の仕組みにおいて、競争力を左右する非常に重要な要素になります。適切な入札単価を設定することで、予算内で最大の広告効果、つまりコンバージョン(CV)獲得を目指します。
広告オークションにおける入札単価の役割
リスティング広告やSNS広告のような運用型広告は、テレビCMや雑誌広告と異なり、広告枠が固定されていません。ユーザーが検索やWebサイト閲覧といった行動をする度に、瞬時に広告オークションが行われ、どの広告がどこに表示されるかが決定されます。このオークションにおいて、入札単価は広告の表示順位を決める主要な要因の一つです。
ただし、入札単価だけが高ければ良いというわけではありません。Googleなどのプラットフォームは、入札単価に加えて、広告の品質やランディングページ(LP)の関連性などを評価する品質スコアも考慮して、最終的な順位と実際の費用を決定します。
例えば、BtoCのECサイトで競合他社が500円で入札しているキーワードがあったとします。自社が600円で入札しても、自社のLPの品質スコアが低ければ、競合よりも低い順位になることがあります。逆に、入札単価は少し低くても、LPの質が高ければ、より低いクリック単価(CPC)で上位に表示されるケースもあるのです。
LPOとABテストが入札単価の競争力を左右する
入札単価の効率を高め、競争優位性を確立するために、LPO(ランディングページ最適化)とABテストは欠かせません。この二つは、入札単価そのものを変更するわけではありませんが、広告の費用対効果を根本的に改善することで、結果的に競争力を高めます。
前述の通り、広告の品質スコアは、ランディングページの質に大きく影響されます。LPOによって、広告のメッセージとLPの内容の一貫性を高め、ユーザーの利便性を向上させることで、品質スコアが改善します。品質スコアが上がれば、競合と同じ入札単価でもより上位に表示されたり、逆に低い入札単価で同じ順位を維持できたりするメリットが生まれます。
また、ABテストを通じてCVRを向上させれば、顧客獲得の効率が良くなるため、「許容できる入札単価の上限」を引き上げることができます。これにより、より激しいオークション競争にも耐えられるようになり、結果として市場でのシェア拡大に繋がります。
Q&A
Q1. 入札単価とクリック単価(CPC)は何が違いますか?
入札単価は、広告主が「この行動に対して支払っても良い」と設定する上限の金額です。クリック単価(CPC)は、実際に広告がクリックされた時に発生した費用であり、設定された入札単価よりも低くなることが一般的です。
Q2. 手動入札と自動入札はどちらを選ぶべきですか?
手動入札は、入札単価を細かくコントロールしたい場合に適していますが、運用工数がかかります。自動入札は、プラットフォームのAIが目標(例:CV最大化)に合わせて入札単価を最適化するため、効率的ですが、十分な学習データ(CV数)が必要です。最初は手動で検証し、データが溜まったら自動に移行するのが一般的です。
Q3. 入札単価を上げれば必ず広告は上位表示されますか?
必ずしもそうではありません。入札単価に加えて、広告の品質やランディングページの関連性も考慮される「品質スコア」が重要になります。品質スコアが高ければ、競合よりも低い入札単価で上位表示されることもあります。
Q4. LPOによって入札単価にどのような良い影響がありますか?
LPOでランディングページのCVRや品質を改善すると、広告の品質スコアが向上し、結果として同じ順位を維持するためのクリック単価(CPC)が下がる可能性があります。また、CVR向上により、ビジネスとして許容できる入札単価の上限自体を引き上げることができます。
Q5. 入札単価を決めるときに意識すべき最も重要な指標は何ですか?
目標顧客獲得単価(CPA)です。ビジネスとしていくらまで費用をかけて良いかというCPAをまず設定し、それをランディングページのCVRで割り戻して、許容できるクリック単価を逆算することが基本です。